その分配金は大丈夫?高利回り分配に潜む、タコ足配当の罠

May 21 2018

 毎月分配型の投資信託は、運用成果の一部が毎月投資家に分配されるため人気商品となっています。しかし、魅力的に映る商品の背景にはタコ足配当が隠れているかもしれません。タコ足配当の問題点や見分け方について詳しく解説します。

 

 

タコ足配当の仕組みと問題点

 

 剰余金を確保していないにもかかわらず、粉飾決算等によりあたかも配当可能利益があるかのように見せかけ、無理に配当することを「タコ足配当」(タコ配)、といいます。
これは会社法上の違法配当となり、取締役の責任が問われ、罰則規定もあります。このようなタコ足配当が行われた際、企業は株主に対して分配金の返還請求ができるほか、企業の債権者は株主に対して分配金の返還を直接請求することが可能です。
 このような規定が設けられている趣旨は、会社の財産が不当に株主に流出することにより、債権者が害されることを防ぐことにあります。
 もっとも、上場企業の配当金を分析してみると、違法配当の定義には当てはまらないものの、配当原資となる十分な利益が出ていないにも関わらず、配当金の下落による株価下落を恐れて、積立金や剰余金の取り崩しによって無理に配当金を維持しているケースも見受けられます。このようなケースでは、設備投資や研究資金といった企業が成長・拡大するための事業資金を失ってしまうために、長期的にみて、企業の将来的な成長も見込めなくなる恐れがあります

 

投資信託におけるタコ足配当


 投資信託においても、同様の状況で無理に配当しているファンドもあります。
例えば、毎月分配型の投資信託の場合、不足している利益を元本からまかなうことで配当が行われているというケースが考えられます。これは、簡単にいうと自分が預けた投資資金が配当金として戻ってきているということです。
 このようなことが行われる理由のひとつは、分配頻度が高く、高い利回りの金融商品が個人投資家にとって魅力的に映るとからです。特に、投資信託を年金替わりに活用しようとして運用資産に組み入れている高齢者の方々にとっては、毎月の分配額を生活費、遊興費の足しにしているということもあり、使い勝手のいいファンドであると思われています。

 

毎月分配型投信の罠


 しかし、毎月分配型投信については、利益を再投資せずに分配してしまうために、一定期間のトータルの運用益は毎月分配しないファンドよりも低くなる傾向にあること、また、配当が利益から支払われている分にはいいのですが、自分が投資した投資元本の取り崩しによって配当を維持している場合には、基準価格の下落を避けられず、結果として投資損を招く可能性がある、ということは押さえておきたいポイントです。分配金の種類として「特別分配金」と表示されている場合には、投資元本の取り崩しによって分配金が支払われているケースですので、基準価格の推移と分配金とを勘案し、投資利益が本当に出ているのかを再計算する必要があるでしょう。

 

どう見分ける?タコ足配当企業の特徴


 さて、企業の話に戻ります。
 タコ足配当をしている企業を見分けるキーワードは「配当性向」です。
配当性向とは企業側が決めた利益還元率の方針で、純利益の30%を配当するという方向性さえ決めていれば、利益の増減に応じて配当を増やすことも減らすこともできるというものです。企業のホームページや四季報で確認できますので、過去のものも参考にすることをおすすめします。
 この指標となる配当性向から、企業の利益還元率が適正かどうかを判断しましょう。

 

タコ足配当?と思ったらすぐに投資の専門家に相談しましょう。


 これから株式投資を始めるという人は、タコ足配当についての知識を持つことで、タコ足配当を行う企業への投資を避けられます。中長期的な視点で投資先の企業が成長し続けていく力を持っているのか否かを判断し、投資先を選択することが大切です。

 

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