【連載第10回】旅とファッション
~METガラとポルトガル滞在でのパラレル~
Ola!
パーソナルスタイリスト協会代表理事の五十嵐かほるです。
今回、西の最果ての地、ポルトガルはリスボン市街からお届けしています。
初めてのポルトガルでしたが、建築物は圧巻!
何とも言えない懐かしさとアズレージョ(タイル画)の美しい街並み。
Bento駅舎内のアズレージョ
どこかに旅行をお考えなら是非とも、おススメしたい街が首都リスボンから特急列車で2時間半のポートワインで有名な古都ポルトです。
ドンルイス1世橋を臨む
そして、ハリー・ポッターのモデルにもなった世界一美しい図書館と言われる「レロ書店」もこの街に!
レロ書店(Livraria Lello)
文化や歴史の色濃く残るポルトガルならではの美しさでした。
さて、場所は変わりニューヨークへ。
ポルトガル滞在同時期に開催されたパーティについてのお話。
METガラの2019年のテーマは
『Camp/キャンプ(「不自然なもの、人工的で誇張されたもの」を意味する美学のこと)』
アメリカ版「Vogue」編集長のアナ・ウィンターが主催者を務めるメトロポリタン美術館でのパーティは世界の錚々たるスター達が一堂に会する年に一度のファッションの祭典として1995年に始まりました。
通常、イベント前夜にならないとゲストリストが公開されないというワクワク感。
そのパーティの目的は、メトロポリタン美術館のコスチューム・インスティテュートのための資金調達。
毎年開催する展覧会のオープニング・イベントがこのMETガラというわけ。
レッドカーペットではデザイナーが作品を見てもらい、世界中に発信するための最高の場といえるでしょう。
2017年には、日本が誇るComme des Garçons コム・デ・ギャルソン/川久保 玲の「闇の芸術」がテーマになりました。
ちなみにMETガラの参加チケットは1人(枚)約30,000ドル(約330万円)!
テーブルを押さえる場合は、約275,000ドル(約3,000万円)!
もちろん、ゲストとして招待される場合は参加費無料で、今回参加したスターの中で度肝を抜いたのがこちら!
Vogue.comより
なんという耽美!
なんというCamp/キャンプ!
メトロポリタン美術館、首席キュレーター、アンドリュー・ボルトンは、METガラ「キャンプ」の目的をLGBTQ※のブレイクスルーとしていたようです。
※LGBT(+)とも言われ、Q=クエスチョニングとは自分の性別がわからない・意図的に決めていない・模索中に当てはまる。
「ファッションは、身体やアイデンティティの問題とのつながりが強く切り離して考えることはできません。服というテーマや、媒介物に対する人々の先入観に挑戦するのが私の使命なのです」とVOGUEのインタビューで彼は語っていて、元々、今回のテーマも作家で自身もレズビアンであったスーザン・ソンタグのエッセイ本『Notes on Camp』(1964)をベースにしています。
「キャンプ」の歴史は古く「過度に強調された行動や身ぶりで個性が特に欠けている人物が主に使用する」と定義づけられ、20世紀初頭に初めてこの言葉が辞書に掲載されていたらしいのです。
ソンタグのエッセイが発表された当時の社会にゲイコミュニティの居場所はなく、これがきっかけとなり「プライド」運動が誕生したのだとか・・・
6月に行われるプライドパレード
引用:businessinsider.jpより
現在は、一般的に「キャンプ」をゲイの男性や服装倒錯者に関するものと理解されていて、これに対し、ボルトンは「新しい世代の人々にとって、もはやドラァグクイーンや性の流動性といった議論は古くさく感じてしまうようです。彼らにとってゲイカルチャーが、あまりに身近で、日常に溶け込んだものだから」と語っています。
実際に私が訪れたポルトガル・リスボンの流行最先端のレストランでは男性二人が周りを気にすることなく見つめ合い、相手の手や頬に触れたりしながら食事を楽しんでいたし。
(しかも周りのお客さんもジロジロ見ることもなく自然)
一緒に合流したベルリン在住の息子は、ベルリンの学校ではクラスで半数がLGBTと言うし、
広尾のビストロでも女性同士がごく普通の恋人としてお誕生日をお祝いしていたし、
天下のNHKに至っては「おっさんずラブ」に影響されたのか「腐女子、うっかりゲイに告(コク)る。」
原作は、浅原ナオトの小説「彼女が好きなものはホモであって僕ではない」の放送が反響を呼んだようです。
引用:driptime24.comより
また、世界が次世代のレディーガガと認める1990年生の日本人シンガー&プロデューサー「リナサワヤマ」は恋愛対象の性別・ジェンダーを問わないパンセクシャル(バイセクシャルではなく)を公表し、歌やファッションでそれを表現しています。
引用:i-d.vice.comより
もはや90年代以降に生まれた世代は、ボーダーを意識しなくなってきているのかもしれないとつくづく感じるのです。
ネットがあれば、世界を超えて誰とでもいつでも繋がれる。
性別や年齢、国籍や場所だって関係ない、それが令和の新時代なのだと。
★連載中!NIKKEI STYLE men's fashion 連載第7回 記事配信中★
「セルフブランディングの為のコンセプトづくり(下)」を配信中!
是非お読みくださいませ!
また、(社)パーソナルスタイリスト(R)協会では確かな技術と資格を持つパーソナルスタイリスト(R)をご紹介しております。
ファッションでお困りのことがございましたら男性女性を問わず、お気軽にお問い合わせくださいませ。
©(株)Style factory 五十嵐かほる
(著者)
五十嵐かほる
株式会社スタイルファクトリー 代表取締役
株式会社社パーソナルスタイリスト養成アカデミー 校長
一般社団法人パーソナルスタイリスト協会 代表理事
ファッションプロデューサー
(お問い合わせ)
株式会社イーアライアンス
MAIL:info@e-alliance.co.jp