「ボルサリーノ」と言えば有名なのが、アラン・ドロン主演＆製作の仏映画。


「ボルサリーノ」デジタル・リマスター版より

　1930年代のマルセイユを舞台にジャン＝ポール・ベルモンドと当時の2大イケメンたちが、ギャングの世界を描いていましたが、二人のボルサリーノ姿が、えらくカッコよかった！
その帽子を日本はもちろん、世界で一躍有名にした映画でもあります。

　ご存知の方も多いでしょうが、昨年末、倒産危機に陥っていた、この帽子メーカー
1857年に設立されたボルサリーノ（BORSALINO）社は、前オーナーのマルコ・マレンコ（Marco Marenco）が詐欺破産と総額35億ユーロ（約4480億円）におよぶ脱税のため指名手配され、スイス・ルガノで2015年4月末に逮捕されたことを機に財政危機に陥ったというのが、事の背景。

　ボルサリーノの親会社で投資会社のヒエレスエクイタ（HAERESEQUITA）は、イタリアの州地裁からボルサリーノの返済期限を2018年7月末まで延期するという合意を得たとか。
と言っても、あと少しの期間・・・。

　あのフランク・シナトラやマイケル・ジャクソンもボルサリーノがトレードマークでしたし、日本でも男女問わず人気が高いハットメーカーの行方が心配ではありますが、ここ数年で帽子人口が、かなり増えていて今回の松屋銀座で行われたトークショーの内容を観客の皆さまが熱心に、しかも楽しんでお聞き下さっていたのでこちらでも、帽子の選び方について書きたいと思います。

　「帽子をかぶると顔が大きく見える」「顔が大きいから帽子が似合わない」と苦手意識をお持ちの方も多いようですが実は、「帽子が似合う人」というのは、男女ともに顔や頭の大きさには全く関係がなく普段から帽子をかぶり慣れているだけ。
かぶり慣れていない方が帽子屋さんで試した瞬間に「なんか変だからや～めた！」となることが多いのです。

「似合う帽子の選び方」の一つ目のポイントとして顔を目立たせないようにすることがコツなのです。

　だから、「つば」の大きいハットは小顔に見せてくれるのでオススメです。
ただ、160センチ以下の方は逆に身体を小さく見せてしまいかねないので女性向けの属に女優帽と言われるタイプの大き過ぎるつばのものをおすすめしません。

男女共にボルサリーノタイプは、「つば」が上にあがっているのもが視線を上に集めるので効果的。

　キャスケットなどのキャップタイプなら「つば」の幅が自分の顔幅より広いものを選ぶこと。
　つばの幅が狭いと顔が大きく見えてしまうので要注意！

　二つ目に顔が大きいと気にされる方は、頭の入る部分（クラウン）がボリュームのある自分の顔幅より大きいものを選ぶのがコツ！

　三つ目は、かぶり方の工夫をすること。
深め（目深）にかぶったり、リズムを感じさせるように全体的に斜めに被ったりするのもおすすめです。
女性は、顔まわりの髪の毛を片方のサイドに持って来たり緩めに編んだ三つ編みや無造作なおだんごヘアで全体的にすっきりさせるのも顔の輪郭が、きれいに見えます。

　そして、一番重要なことは「自分の顔の形を把握すること」です。

　意外にも自分の顔の輪郭を分かっていない方が多いので帽子はもちろん、似合う洋服の衿の形も輪郭に合った似合うものを選んだら、もっと素敵になるのに・・・
「もったいない・・・」と感じてしまうのです。

　顔の形は、その特徴によって、直線系と曲線系の大きく2つに分類することが出来ます。代表的なもので6種類がありますが、卵顔は、理想の顔の形とされており、顔の横：縦の長さの比率が1:1.6。美容業界及び美容整形の世界でも基準の数値にしているようです。

その卵顔と面長、丸顔が曲線形で丸みを帯びた輪郭をもつ「曲線系」・四角顔、ベース顔、逆三角形顔が直線形でシャープな輪郭をもつ「直線系」です。
もちろん、曲線と直線両方の要素を持つ人も多くいます。『ミックス顔』と呼んでいますが、例えば丸顔でえらの張った人の顔の場合は「丸顔とベース顔のミックス」というわけです。

※許可を頂いて掲載しております。

　横山剣さんはシュッとした直線的な顔型なので、この直線的な形状がお似合いに！一方の私は、直線と曲線のミックス顔。
だから、クラウンは直線的で、つばが少しだけ下に向かって丸みのある形状のものを選びました。

　下記のイラストのようにA顔の輪郭が直線的な方は、クラウンも直線的なものをB曲線的な輪郭の方は、丸みのあるものを選ぶとしっくり馴染みやすいのです。

　このように、ご自身がお持ちの「特徴を生かす」、または目立たせないように「さりげなくごまかす」ことを私が代表を務める（社）パーソナルスタイリスト協会では、テキストやユーキャンの通信講座内でメソッド化してレクチャーしています。

それは、人の眼は簡単にだまされやすいから。

　錯視効果といって大きいものを小さく見せたりするミュラーリアー錯視や短いものを長く見せたりするジャッド錯視など
容易く手に入る技術を取り入れながら、お似合いになるものをショッピング同行やクローゼット診断などの際、皆さまにお奨めしています。

閑話休題。

　目に入る紫外線を帽子は、20～30％防ぐと言われています。
男性の「スーツに日傘」は、どうもしっくりこないですよね。
この際、「ボルサリーノ」存続も考慮しつつ、「スーツにボルサリーノ姿」を始めてみませんか？

　女性の方は、帽子に今年のトレンドである透け感、例えばレースやチュール素材などを取り入れて夏のオシャレを楽しんでみてくださいね。

©（株）Style factory　五十嵐かほる

（著者）
五十嵐かほる
株式会社スタイルファクトリー　代表取締役
株式会社社パーソナルスタイリスト養成アカデミー　校長
一般社団法人パーソナルスタイリスト協会　代表理事
ファッションプロデューサー

（お問い合わせ）
株式会社イーアライアンス
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