リスクを考慮することが大切?従業員持株会に加入する際の注意点
大きな企業に勤務する方は「従業員持株会」という言葉に聞き覚えがあるのではないでしょうか。「耳にしたことはあるけど、なんだかよくわかっていない」、「よく分からないまま加入している」という方も少なくありません。そこで今回は、従業員持株会について、仕組みや加入に際しての注意点などを詳しくご紹介します。
ほとんどの上場企業が導入済み?従業員持株会制度
勤めている企業の社内制度に従業員持株会があると知り、喜んだという方も多いのではありませんか。「上場企業の9割以上が導入している」ともいわれるこの制度は、従業員が自社、または親会社の株式を取得するにあたり、企業側が奨励金や給与控除の便宜を図ることで従業員の財産形成を助成するというものです。
従業員持株会は、従業員からなる持株会という組織によって運営され、加入した従業員が給与天引きで自社株を購入し、搬出金に応じた配当を得るという仕組みです。
従業員持株会とよく比較される制度に、アメリカを発祥とするESOP(イソップ)がありますが、こちらは単に従業員が給与天引きで自社株を購入する制度ではありません。この制度では、信託の仕組みを利用して企業が自社の株式を買い付け、退職金や年金給付として従業員に分配されます。
日本でも日本版ESOPがありますが、持株会型と退職給付型の2種類に分かれており、アメリカとはやや異なります。
従業員持株会制度は、低金利時代の現在でも財産形成の有効な手段となっています。
従業員持株会加入で得られる従業員のメリット
――投資のタイミングを考える必要がない
――奨励金制度によって時価より安い価格で株を取得できる
――上場予定の企業の場合、大きなリターンが予想される
――自社株の値上がりが従業員の利益につながるので、モチベーションや業績アップを目指せる
従業員持株会導入で得られる企業のメリット
――安定株主の獲得による株価の安定と、敵対的買収者への抑止力が期待できる
――福利厚生制度の充実による組織のモチベーションアップを目指せる
――従業員のモチベーションアップを期待できる
株価や投資にかかわることだけでなく、モチベーションや業績アップを目指すことができる点も従業員持株会の特徴です。企業と従業員の両方に多くのメリットを与えてくれる制度といえます。
加入の際に考慮すべき注意点
従業員持株会に加入する際には、給与と財産の両方を勤務先の企業に依存してしまうことを避けるために、できるだけ勤務先の株以外でも資産運用を行うことをおすすめします。
そうすることで、万一企業の業績が悪化して収入がカットされた場合や投資した利益を回収しきれない場合のリスクを分散させることができるからです。
従業員持株会は、「投資を始めてみたいけれどなかなか手を出せない」と感じている方が投資を始めるきっかけとなるとても便利な制度です。大切なのは、メリットだけでなく、起こり得るリスクを理解したうえで加入するということです。