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二重課税されないために知っておくべき「外国税額控除」

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近年、証券会社の手数料が安くなったりサービスが手厚くなったり、外国株への投資がしやすくなりました。注意したいのは、海外投資で収益があった際の税金についてです。居住地が日本の方でも、海外で収益が発生した場合には「源泉地国課税」が課せられます。「居住地国課税」と合わせて二重に所得税が徴収されるというわけです。二重課税を防ぐためにも「外国税額控除」について知っておきましょう。

 

外国税額控除とは

「外国税額控除」とは、二重課税を調整するために外国で課税された所得税のうち一定額を国内の所得税から差し引く制度です。手続きには確定申告が必要ですが、海外投資で収益が出た場合、税金の過払いは避けたいので必ず行いましょう。

 

外国税額控除の計算方法

外国税額控除の計算方法は以下のとおりです。

【外国税額控除の限度額=その年の所得税額×(その年の国外所得総額÷その年の所得総額)】

外国での所得額が控除限度額を超えるかによって控除額は変わりますので注意してください。所得税額から控除しきれない場合は、道府県民税額から外国税額控除限度額の12%まで、次に市町村民税から18%までといったように住民税からも控除可能です。

 

3年間の繰り越しも可能

住民税からも控除できない場合には、繰越控除として翌年以降3年間繰り越しできる制度があります。外国税額が限度額を下回った場合は、「控除余裕額」として、翌年以降3年間繰り越した年度に控除余裕額の範囲内で控除が受けられます。

 

ファンドの場合は二重課税の可能性も

証券会社を通じて株式やREITに投資した場合、外国税額控除で払い過ぎた税金が還付されます。
しかし、投資信託の配当金に対して、課せられた税金は控除対象になりません。また、住宅ローン減税といった税額控除を受けている場合も外国税額控除を活用できないことがありますので調べておきましょう。

 

確定申告で確実な手続きを

確定申告の期間は毎年2月16日から3月15日です。この期間内に外国税額控除の手続きを行うようにしましょう。

 

外国税額控除を受けるために必要な書類

確定申告の際には、下記の必要書類を添付する必要があります。
1.外国税額控除に関する明細書
2.外国所得税を課されたことを証明する書類
3.国外所得総額の計算に関する明細書

繰越控除を行う場合には「繰越控除限度額」や「繰越外国所得税額」が生じた年のうち、最も古い年分以後の各年分について、その各年の控除限度額や納付することになった外国所得税の額を記載した書類も合わせて必要です。

 

確定申告が必要ないケース

日本の証券会社の特定口座を通じて海外投資をした場合、売却益や譲渡益、配当金などは、証券会社で源泉徴収されるため、確定申告する必要はありません。

 

海外投資をするのなら外国税額控除が必須

海外での損益も確定申告する必要があります。海外への投資はメリットが大きく効率的に資産運用ができますが、収益があった場合には正しい納税を行うことが大切です。さらに二重課税を防ぐためにも、確定申告で外国税額控除を受けましょう。