投資における流動性リスクとその弊害
金融商品や為替取引において、売買のしやすさや売買量のことを「流動性」といい、流動性が低いことにより起こる売買上のリスクが「流動性リスク」です。投資商品によってはもともと流動性リスクがあるもの、市況により流動性リスクが発生するものがあります。ここではリスクの内容と、どのような時に発生するのかをご紹介します。
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流動性が低いことによるリスク
市場に出回っている数が多い株式といった金融資産は流動性が高く、不動産や美術品といった実物資産は流動性が低い傾向にあります(不動産投資信託(REIT)は除く)。流動性が低いとどういったリスクが生じるのでしょうか。
流動性が低いと売りづらい
流動性が低いということは、取引に応じる買い手が少なく、取引がしにくい状況です。買い手が見つからないと商品は売れません。また、希望した価格で取引が成立しないといったリスクもあります。
流動性リスクの高さが起こす弊害
流動性リスクが高いと、さまざまな弊害が生じます。現金化するまでに時間がかかってしまうケースが多いことや、希望する価格では買い手が見つかりにくいことがあります。また、急いで現金化しようとすると、希望価格より低い価格でしか現金化できないということもあり、手続きが煩雑になる可能性が高いです。
投資商品と流動性リスクの関係
一般的に出来高(売買高)の小さい銘柄は、流動性リスクがあるとみなされます。投資商品により流動性リスクの高さが違ってきますが、一部上場銘柄と比べ、小型株や店頭株は流動性が低いといえます。
流動性リスクが発生するのはどんな時?
投資商品自体(銘柄)にもともとあるものと、市場状況により発生するものと大きく2つに分かれます。基本的には、市場に出回る売買量が極端に少なかったり、市場が大暴落したり、自然災害で取引ができなくなった場合に起こります。また、企業の不祥事や経営危機によって上場廃止になり、市場を通じた株式の売買ができなくなるために、売りが殺到し値が付かない銘柄にも発生します。
債権の場合、買い手の付きにくい銘柄を償還期限前に売ろうとした時に流動性リスクが発生するため注意が必要です。
流動性リスクがある投資方法の例
すぐに売却できないものや譲渡に制限がある投資には常に流動性リスクが発生します。例えば不動産投資は金額が高いことや、買い手を探したり手続きしたりと時間がかかり、すぐに現金化できないため流動性リスクが生じやすいです。なかでも地方不動産や、アジアやアメリカ郊外の海外不動産は特に流動性が低いため、売るに売れないという事態も想定しておく必要があります。また、信託受益権、匿名組合出資なども流動性リスクの高い投資方法です。
流動性を把握してリスク回避
投資をする際は「流動性リスク」がどのようなものか、また、どのような時に発生するのかを理解し、常に留意しておくことが必要です。アンテナを張り巡らせ新しい情報をキャッチし、リスクを回避した運用ができるようにしましょう。