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なぜマーケットメイクなのか?取引方法のメリットから読みとく

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マーケットメイクは、取引所により指定された値付け業者であるマーケットメイカーによって行われる取引方法で、市場の価格形成をより円滑にするために用いられます。マーケットメイカーの役割や一般的な取引方法との違い、投資家へのメリットなどを詳しく解説します。

 

マーケットメイク方式を採用する理由

 

 証券取引所(金融商品取引所)での株式や債券の売買は、原則としてオークション方式が用いられています。しかし、あまりに取引量が少なく買い手のみ、もしくは売り手のみがいる状態が一日中続く場合は値をつけることができません。

それに対しマーケットメイク方式では、マーケットメイカーが常に売値と買値を提示しています。売り手と買い手の相対取引を基本として売買を成立させるため、流動性を確保するのに有効な方法であり、マーケットメイク方式を採用する大きな理由の一つといえます。また、小規模の会社でも流動性を十分に確保できることが期待できるでしょう。

 

マーケットメイク方式を採用している取引所

 

 日本国内では、東京金融取引所の外国為替取引でマーケットメイク方式が採用されています。そのほかにも、ジャスダックが1998年12月より、市場の活性化を促進させる策としてマーケットメイク方式を採用していましたが、取引システムを一本化することに伴い2008年3月21日に廃止となりました。

 一方で、今後マーケットメイク方式を導入しようとする動きも見られます。コストの低さからアメリカを中心に市場拡大しているETF(上場投資信託)です。流動性を高め、さらに多くの投資家に活用してもらうため、2018年の夏頃を目処にマーケットメイク制度導入の準備が進められています。

 

投資家へのメリットとマーケットメイクの特徴

 

 マーケットメイク方式では、取引所から指定されたマーケットメイカーの証券会社が取引相手となります。マーケットメイカーによって、「この価格であれば取引に応じる」という価格や株数が常に提示されるため、競争売買であるオークション方式と比べると取引が成立しやすい仕組みといえるでしょう。

 また、流動性を確保するという目的から、マーケットメイク銘柄にはストップ高やストップ安の値幅制限がありません。ストップ高やストップ安がない代わりに設けられているのが、サーキットブレイカー制度です。サーキットブレイカー制度では、価格が上下30%まで変動するたびに売買を15分間中断させるため、投資家は現在の市場での取引状況を把握することができます。

 

マーケットメイク方式は今後拡大するか?

 

 金融商品の取引が成立しやすいマーケットメイク方式は、投資家にもメリットがあります。日本取引所グループHPの発表によると、2018年7月2日からは、コストメリットのあるETF(上場投資信託)での導入も見込まれているため、アドバンテージが認められれば今後も拡大していく可能性があります。今後の動向に注目です。