IoT事業投資 vol.3
次世代ロッカー「SPACER」
「未来志向の新たな体験や価値の創出」をコンセプトに、今春グランドオープンした東京ミッドタウン日比谷。
2018年8月24日夜、6階のビジネス創造拠点「Base Q」には400名を超えるスタートアップ関係者が集まり、8社のプレゼンテーションに耳を傾けていた。
その中でもひときわ注目を集めたのが次世代ロッカーを提供する「SPACER(スペースアール)」である。ロッカーのIoT化により、物流問題への解決の糸口を提供するとともに、「モノの受け渡し」という新たな体験をロッカーに追加して新しいビジネスの創出に寄与している。
今回は、IoT事例の好例として「SPACER」のビジネスモデルを取り上げ、新しい事業投資のカタチを探ることにしよう。
最後には会員限定のダウンロードツールも用意したので、IoT事業投資に興味のある方はぜひダウンロードして投資を検討していただきたい。
※本事業投資に関するお問い合わせは本ページ下部のお問い合わせボタンからお願いいたします。
INDEX
次世代ロッカー「SPACER」
SPACERは2018年3月1日にローンチされた次世代ロッカーサービスである。
カルチュア・コンビニエンス・クラブが主催するオープンイノベーション「T-VENTURE PROGRAM」にて優秀賞を受賞したのちは、飛ぶ鳥を落とす勢いで大手企業との事業提携を進め、首都圏、名古屋、大阪、福岡と急ピッチで設置場所の拡大を進めている。
「SPACER」はどのようなロッカーか?まずは下の動画をご覧いただきたい。
SPACERが解決する問題
現在「物流問題」は、新たな社会問題として各メディアを通じて様々な切り口から議論されている。Amazon、ZOZOTOWNなどのECサービスのみではなく、メルカリなどのようなCtoCの商品のやり取りも爆発的に拡大し、物流は今までにも増してパンク状態である。
ECの市場規模は15.1兆円とここ5年間で1.8倍の規模に拡大、宅配便の配達実績は40億個(ともに平成28年度)と増加する一方で、さらに約2割は再配達となっているという現状である。物流業界のドライバー不足は深刻であり、下請け、孫請けまで総動員しても間に合わない。
この問題を解決するために、物流大手各社は独自で宅配ボックスを配置するなどして対応に追われている。
しかし、物流業者は設置する宅配ロッカーは初期コストが200万円から300万円と高額であり、また自社のCSRの一環としてロッカー配置している現状から、数が増えていかない。
また配送業者同士の連携がうまくいっていないために、業者側からしても使い勝手が悪いのが現状である。
「SPACER」は、スマートホンの専用アプリケーションをダウンロードすることによって利用する、次世代ロッカーである。スマホ画面の「スイッチ」表示をスワイプすることで、ロッカーを開け閉めすることができ、空きロッカーの状況はアプリ地図にプロットされたロッカーマークで確認することが可能だ。
さらに「SPACER」の画期的なところはスマホアプリを通じて鍵をほかのメンバーに渡すことができる点である。鍵は独自のアルゴリズムを用いて開け閉めするごとに作成されるために、セキュリティ面においても優れた機能を発揮している。
最近メルカリなどのサービスでは、匿名にて出品、取引がなされるケースも多いが、「SPACER」においても、鍵を渡す側、渡される側いずれも匿名でやり取りすることが可能であるために、このようなサービスにも親和性の高いものとなっている。
SPACERが提供する新しい「体験」
この「鍵をほかの人にアプリを通じて渡せる」という機能は、他社のロッカーサービスではまねできないもので、ここから新たなビジネスが創造される兆しがみられる。
例えば、「SPACER」は「後でとりに来てください」と店員さんからいわれるようなサービスに特に威力を発揮するロッカーだ。
ユーザーの中には、昼夜が逆転している生活をしている人や、毎日朝早くから夜遅くまで働く企業戦士も多数おり、このような人たちにとっては「後でとりに来てください」といわれても、受け取るのが1週間後、ということも少なくない。
「SPACER」を利用すれば、24時間受け渡しが可能であるので、「SPACER」を介して商品を受け渡しすることが可能となる。具体的には、クリーニング店、靴や洋服の直しのほか、商品の取り置きや夜間受け渡しサービスによる地域商店街の活性化など、新しいサービスが広がる。
「SPACER」事業投資
「SPACER」は2018年3月1日にローンチしたばかりである。であるにも関わらず、設置場所が加速度的に増加しているのはなぜだろうか?
この最大の要因は、設置費用が50万円と非常に安価で、投資対象となっているというところにある。
IoT技術を活用することによって、事業に必要なデータを蓄積する機能や本人認証機能を、ロッカー自体ではなくインターネットを通じたシステムに「外出し」したことで、ロッカー自体が必要最小限のシステムのみで構成されることとなった。設置費用を含め50万円という安価な価格を実現できたのはIoT技術をうまく活用した結果である。
では、このSPACERのロッカー事業を投資対象と見た場合はどうであろうか。
ロッカー自体が300万円もするならば、投資回収は長期となりリスクが高い。SPACERは、1筐体(きょうたい)あたり50万円で設置できることから、「事業投資」の対象としても十分に成り立つことになった。
この投資手法はファンドや株式などの手法によるものではない。IoT技術によって、ユーザーの利用から決済までがシームレスで行われるために、ロッカー自体が収益を生み出す。投資家は「ロッカー自体」を購入することによって、事業投資が可能となる。また、数百万円、数千万円単位の投資になれば、ロッカーの設置場所も多種多様となるために、リスクの分散も可能となる。必要最小限のメンテナンスは株式会社SPACERにアウトソーシングすれば足りるレベルだ。
この「SPACER」事業投資にはすでに数千万円から数億円規模での投資希望者が現れており、IoT事業投資の先進的な事例になることは間違いない。「SPACER」事業投資の詳細について興味のある方はぜひ、下欄のダウンロードボタンからプレゼンテーション資料をダウンロードしてみていただきたい。
利回り8%以上を実現!
さて、気になる収支シミュレーションであるが、SPACERロッカーは、現在最初の2時間は無料、以後、6時間ごとに240円のチケット課金がなされる仕組みになっている。
このユーザーからの利用料の20%はSPACERへのシステム料、15%はメンテナンス料、15%は地権者への設置料、残りの50%が投資家の収益となる。
プロモーションはこれからであるために、最初の1年の利用率はそれほど高くないが、それでも投資開始から約3年程度の投資回収、5年間の平均投資利回りで約8%程度を見込んでいる。
投資スキームと投資シミュレーションの詳細については、プレゼンテーション資料をご覧いただきたい。
即時償却ができる特別税制
「SPACER」事業投資は投資効果が高い事業であるが、さらに、企業あるいは個人事業主の要件を満たせば、「中小企業経営強化税制」による即時償却又は取得価格の10%(資本金3000万円超、1億円以下の法人は7%)の税額控除を選択適用することが可能だ。
次回はSPACER事業に「中小企業経営強化税制」を適用した場合について、詳しく検討してみよう。
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