IoT事業投資 vol.2

Sep 20 2018

事業投資と「モノ」投資のあいだ

 

 前回では、IoTそのものの復習ということで、IoTビジネスを概観した。例として「スマートホーム」と「ドローン」を挙げたが、もちろんこれは一端にすぎず、実際は農業(ハウス栽培の最適化)、医療(ウエアラブル端末など)、エネルギー(消費電力の最適化やスマートメーター)、工業(検品処理の自動化、データ蓄積によるAI主導の検品など)などあらゆる産業においてIoT化が進むと考えられており、その一部はすでに実用化されている。

 

 IoTおよびAIの発達による自動化、省力化から、どんどん人間の労働力が関与する部分が少なくなり、いくつかのビジネスはビジネスモデルの転換を余儀なくされることになろう。

 

 このような状況の中で、事業投資はどのように変わっていくのだろうか?連載第2回目は、IoTビジネスに適した事業投資の方法を探ってみる。

 

 

今までの事業投資

 

 世の中にはいろいろな事業投資の手法がある。株式や債券は伝統的な投資手法であるが、株式投資信託やJ-REITをはじめとする投資ファンド、あるいは不動産であれば直接投資用不動産を購入する、ということもあるだろう。

 

株式や投資ファンドを通じた事業投資

 

 「事業は人なり」という松下幸之助翁の言葉があるとおり、事業は人の労働力によって成り立つものである。この「人の労働力」と「市場に散在する資本」を結び付ける手段として発達したのが「株式会社」の仕組みだ。

 

 歴史の授業のようであるが、世界初の株式会社とされている「オランダ東インド株式会社」は航海のリスクを分散させるために多くの小口の投資を投資家から集めた。これを始まりとして、所有と経営の分離が進んだのは歴史の示すとおりである。

 

 このような株式会社の仕組みに表れている通り、「多数の人の労働力」で成り立つ事業と資本を結び付けるためには、株式会社、合同会社のような投資の受け皿となる「箱」(投資用語では「ヴィークル」と呼ぶ)が必要である。

 

 あるいは、民法上の組合、商法上の匿名組合、投資事業有限責任組合、のような何らかの仕組みが必要であった。この仕組みをもとにして、現在の金融商品取引法が制定され、規制が敷かれている。

 

 投資の話をするとすぐに、「株式での出資ですか?」あるいは、「ファンドですか?」という発想が生まれるのは、この仕組みが深く浸透しているからであろう。

 

 

IoT事業投資を考えてみると・・・

 

 しかし、IoT技術およびAIがどんどん発展していくと、人の労働力はデータ集積・処理システムやロボットに置き換わっていき、必要最小限の労働力はアウトソーシングで足りることになる。

 

 また現在は決済システムやアプリケーションなどの課金システムも充実しているために、消費者から直接現金を受け取ることはない。

 

 このようなビジネスがどの分野でも成り立つということはないが、ロボットなどの自動化システムと決済システムが整備されるような分野においては、事業は自動的に遂行される。

 

 そうすると、投資の対象としては、株式会社などの「箱」ではなくて「システム」自体や「ロボット」自体となることも十分に考えられる。

 

 投資の対象が「モノ」であるという考え方は何も新しいものではない。不動産投資はまさにその典型で、不動産自体が収益を生む。さらに技術の発展により、再生可能エネルギー発電設備への投資も必要最小限のメンテナンスをアウトソーシングすることによって、「モノ」への投資がそのまま事業投資となった。

 

 このように考えると、事業への投資、と「モノ」への投資はどんどん近づいていくことになる。

 

 

リスク分散をどうするか?

 

 「事業投資」=「モノへの投資」という図式はいろいろな分野に広がるであろう。例えば、農業分野においては野菜工場やハウス栽培への投資、物流分野では、自動仕分けロボットシステムを搭載した倉庫への投資、さらに、ブロックチェーン技術を応用したスマートコントラクトが進んで、契約から決済まで自動化されるような分野においてはそのシステム自体への投資ということも可能である。

 

 一つ考えられる問題としては、「モノ」への投資が大きすぎると、相当キャッシュフローが固い事業分野でないと、リスク分散の点において、株式投資やファンド投資に分があるということになる。もっとも、IoT技術が期待される分野については、多数のIoTデバイスを使ってビジネスを進める場合が多く、その一つ一つのデバイスへの投資を行うことで、リスクの分散が図れるであろう。

 

IoTビジネスの好例「SPACER」

 

 IoT技術が事業投資を変えそうだ、という感覚がなんとなくつかめてきただろうか?次回は、次世代ロッカービジネス「SPACER」を取り上げて、IoTシステム自体への投資というものがどのようなものかを具体的にみていこう。

 

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>>【IoT事業投資vol.0】 予告編

>>【IoT事業投資vol.1】 初心者のためのIoT

 

(本件に関するお問い合わせ)
株式会社イーアライアンス
MAIL:info@e-alliance.co.jp
TEL:03-6256-8477

 

 

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