不動産を持たなくても大丈夫?ABLで機動的に資金調達!
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ABLは動産や売掛金を担保にして融資を受けるという方法で、Asset Based Lending:資産担保融資の略です。ABLが普及すれば、多くの企業が今までより融資を受けやすくなるでしょう。ここでは、ABLの活用方法や対象となる動産について解説します。
動産を担保に!資金調達に便利なABL
もともと日本では、大きな融資を受ける際には不動産を担保にしたり、個人保証を行ったりすることが一般的でした。
しかし、事業を拡大する過程において不動産を所有している企業はすでに担保として提供しており限度額まで借り入れを行っているというケースも少なくありませんでした。
ABLでは、企業の事業活動につながる売掛金、在庫、設備などを担保として資金を調達する、近年徐々に広まっている融資手法です。借り手は、通常営業の範囲内で事業資産の使用や処分を自由に行えます。
ABLの担保評価
ABLの対象となる動産自体には市場での売却を前提とする価値を持つものと持たないものがあります。前者の場合には、市場での交換価値を主体としての担保評価が中心となるでしょう。イメージしにくいのは後者の場合ですが、ABLによる融資が事業の継続性を前提としていることを考えると、事業が生み出す付加価値を一体としてみて担保評価することが合理的であるといえるでしょう。
ABLを活用されるのは、どんな事業?
実際にABLを活用した一例として、青森銀行が挙げられます。
近年では、太陽光発電事業にかかわる再生可能エネルギー発電設備資金に対してABLを活用し大きな話題となり、他行も追随する動きを見せました。これまでにもコメや水産加工品、りんごや産業用ロボットなどを担保とし、積極的にABLを活用した融資を行っています。。
より幅広い活用を期待できる?ABLの市場動向
国や地方公共団体も、ABL活用に向けた対策をとり始めています。
2013年、金融庁はABLの積極的な活用を推進するため、金融検査マニュアルの運用を明確化しました。これは借り手にとって資金調達手段が多様化するという大きなメリットがありますが、金融機関にとっても深く融資先の現状把握ができるという点でメリットであるといえるでしょう。
また、東京都は「東京都動産・債権担保融資(ABL)制度」を設け、制度が幅広く利用されるよう、支援・補助をしています。健全な経営を行い、担保に適する資産を持つ企業や、車両や建設機械といった設備を多く使う企業が支援の対象になりやすいといえます。
一時的な業績の悪化にも活用可能!ABLの利点
ABLは資金の貸し手と借り手が、密接なコミュニケーションをとりながら行われます。
例えば、一時的な業績悪化に陥った場合でも、借り手が貸し手に経営について相談することで、業績が好転するきっかけをつかめるかもしれません。
ABLは経営の健全化の面から見てもポジティブな役割を果たしてくれる融資方法の一つと言えるでしょう。