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ブロックチェーン・インパクト vol.0

予告編

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ブロックチェーン・インパクト

 

ジャパン・ブロックチェーン・カンファレンスが開催

 

 平成30年6月26日午前10時、地下鉄から続く薄暗い通路には、入場規制によってあふれ出た人波が列を作り、参加者はいら立ちを隠しきれない様子であった。眼下には、専門展にしてはやや小さめの会場に数百人の聴講者がびっしりとスペースを埋め、半分は立ち見のようである。

 

 国籍、言語、人種は様々、この光景はこれから始まる未来を体現しているようだ。

 

 権力を握る者がいない分散化された経済社会、「ディセントラライズド(decentralized)」された世界、この世界では仮想通貨が世界の基軸通貨と肩を並べるぐらいに流通し、スマートホン上のアプリによってあらゆる価値の交換・移転を実現し、スマートコントラクトにより契約と決済は自動化される。そのカギとなる技術は・・・そう、「ブロックチェーン」である。

 

 

 東京国際フォーラムで開催された「ジャパン・ブロックチェーン・カンファレンス」では、世界中からスピーカーが招聘され、仮想通貨を中心としたサービスや、ブロックチェーンを使った投資手法などさまざまな分野におけるブロックチェーンの活用法や今後の見通しについて活発に議論されていた。

 

 スピーカーの多くは金融機関出身者が多いようだが、その国籍は、2000年代のドットコムバブルの時代のようにアメリカ中心ではなく、様々な地域の出身者がブロックチェーンのプロフェッショナルとして名を連ねている。

 

ブロックチェーンの未来予測

 

 メディアでは、仮想「通貨」の呼び名の通り、金融分野への活用方法が進んでいるという論調が多く、その話題の中心はビットコインから他のサービスへと移っている印象がある。

 

 ビットコイン自体は、昨年末には1BTCあたり200万円の交換レートを示していたが、直近では60万円台と70%の下落を記録しており、一時のチューリップバブルに終わるのか、と揶揄している記事も多く見受けられた。

 

 現在では、ベンチャー企業のみならず、日本の3大メガバンクを含む世界の金融機関がコンソーシアムを組んでブロックチェーンの活用について研究がなされているなど、ブロックチェーンの活用はもはや世界的な潮流となっている。

 

 しかし、実現されるサービス内容については、「少額の海外送金がわずかな手数料で可能になる」、「中央銀行を介さずに国際的な送金手続きが可能となる」など、いろいろな未来予測が発表されているが、その全貌はいまだ明かされていない。

 

経済産業省資料による市場規模推計

 

 ブロックチェーンの活用法は金融分野のみではなく、その応用範囲は多岐にわたる。経済産業省の資料によると、その活用分野は、

 

⓵価値の流通・ポイント化・プラットホームのインフラ化

⓶権利証明行為の非中央集権化

③遊休資産ゼロ・高効率シェアリングの実現

④オープン・高効率・高信頼なサプライチェーンの実現

⑤プロセス・取引の全自動化・効率化の実現

 

など、市場規模は合計で67兆円にもなると推計されている。

 

 ブロックチェーン技術の活用はまだ黎明期であり、各分野のプロフェッショナルが実証実験を繰り返しているところである。日本でもいくつかの成果が生まれているようだ。

 

(出典:平成28年4月28日 ブロックチェーン技術を利用したサービスに関する国内外動向調査)

 

「LENOVI Premium Story」特集にて連載

 

 ブロックチェーンの活用は、インターネットの出現以来の産業革命であるといわれている。もはや、5年後の取引はブロックチェーン無しでは語れないほどに速い速度で、ブロックチェーンは世界経済に浸透していくだろう。それは日本においても例外ではない。

 

 しかし、殊にブロックチェーンの分野においては、世界のベンチャー企業に一歩遅れを取っているのではないだろうか。本メディア「LENOVI(レノヴィ)」は「新しいことを始めたいエグゼクティブのための情報プラットホーム」としてスタートしたが、今後新しい世界的な潮流を生むような様々なビジネス、文化、ライフスタイルについて「LENOVI Premium Story」特集の中で取り上げていく。ブロックチェーンはその第一弾である。

 

(予告編)本連載の内容

 

第1回~第5回 基本編

 

 本連載第1部は、「ブロックチェーンの仕組み」を中心にお送りする。皆さんの中には、ブロックチェーン=ビットコイン=怪しいもの、と考えている方も多いことだろう。その等式はあながち間違ってはいない。

 

 ブロックチェーン技術を使った代表的なサービスとして真っ先に挙げられるのはビットコインだ。今回も、ビットコインを例にとって、ブロックチェーンの初歩の初歩から始まり、ビットコイン以外の仮想通貨で有力なものであるイーサリアムについても取り上げる。

 

 

第6回~第10回 活用編

 

 第2部としては、仮想通貨から離れ、ブロックチェーンの活用方法について、いくつかのブロックチェーンの種類を概観しつつ、日本、そして諸外国のブロックチェーンの活用法について詳述したい。

 

 日本をはじめとする各国のビットコイン規制状況、現状では「9割は詐欺」といわれるICO(イニシャル・コイン・オファリング)についても取り上げる。

 

 さらに経済産業省で公開された未来予測図の内容、および先進事例を研究することにより、日本でのビジネスの応用方法について探る。

 

 ブロックチェーンが仮想通貨を通じての投機の対象、という形態から脱皮し、サービスと契約、そして決済が一体となってブロックチェーン技術によって提供されることで、ユーザーのもつ今までの経済取引のパラダイムを一変させるであろう。