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ブロックチェーン・インパクト vol.6

ICOの動向

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 最近になって、ICO(アイ・シー・オー)という言葉がメディアでもちらほら見かけるようになった。米国のベンチャーキャピタルファンド、アンドリーセン・ホロウィッツは仮想通貨やブロックチェーンに特化したファンドを組成するなど、プロのファンドも注目していることは間違いない。


 ICOとは何か資金調達めいたもの、というのは記事を読めばわかるが、いまいち実態がつかめない、というのが大方の感想であろう。


 ICOの統計サイト「Coin Schedule」によるとICOを通じてなされた資金調達は2017年には36億ドル、2018年に入ってはすでに114億ドルに上るという。日本では法規制上の問題等があいまいであるためになかなか事例は少ないが、法規制が明らかになることを見越して、あるいは海外市場を見据えてか、すでにいくつかのICOコンサルティング会社が国内でも立ち上がっている。


 さて、いよいよ無視できなくなっているICOについて現状(2018年7月現在)での市場環境をまとめてみた。

 

 

ICOとは?

 

ICO(イニシャル・コイン・オファリング)

 

 ICO(Initial Coin Offering・イニシャル コイン オファリング)とは、金融庁によれば、「企業等が電子的にトークン(証票)を発行して、公衆から資金調達を行う行為の総称」ということであるが、相当に広い定義となっていることは否めない。

 

 金融庁としては、まだまだ発展途上の資金調達方法であるために、限定すると法の網から漏れる可能性があるために、あえて広い意味を含む定義としているのであろう。

 

 一般的には、ICOとは、企業や団体が、主にブロックチェーン技術を活用したトークンを発行し、投資家はビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨をもって払込をおこない、トークンを入手するという方法によって実現される資金調達を指している。


 今では代表的な仮想通貨の一つとなっている「イーサリアム」も2014年、ICOによって約20億円の資金調達がなされた。当初は1イーサ=30円程度であったのが、今や5万円程度で推移している。つまり1600倍になったということだ。


 インターネットで検索してみると、膨大な数のICO案件が存在し、ご多聞にもれず、ICO評価サイトやICOまとめサイトなどの関連サイトも盛りだくさんである。

 

(アメリカを中心として膨大な数のICO案件が存在する。)

ICOの手続

 

 ICOは、法律上手続きが定まっているわけではないため、その形式は各企業(発行体)にゆだねられている。しかし、海外の事例に倣って、以下のような手続きを踏む場合が多い。

 

1、 トークンを活用したビジネスモデルの構築


 ICOはビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨の払込と引き換えに「トークン」の割り当てを受けることで資金調達を行う。トークンは何の意味もないモノであればそれこそ詐欺であるが、何らかのサービスを受けられたり、プラットホームの中で使われる通貨(もしくはポイントなど)であったりすることが多い。

 

2、 ICOアナウンス


 準備が整ったら、ICOを行っている旨について、ニュースサイトやICO専門ポータルサイトなどを通じて投資家にアナウンスをする。ほとんどの企業は自社のサイトに誘導し、今回のICOに関する情報、事業計画などをまとめた「ホワイトペーパー」と呼ばれる書面をダウンロードしてもらい、ICOへの投資を呼びかける。

 

3、 トークンセールの開始


 プレセール、クラウドセールなどいくつかの段階に分かれて、仮想通貨の払込を募集する。一般的には初期の段階でICOに参加したほうが、安価な割当価格で参加できる。

 

4、 取引所への上場


 多くの企業は、発行したトークンを、取引所を介して他の仮想通貨に変えられるようにするために、トークンの取引所への上場を目指している。この場合の「上場」とは、発行したトークンを、世界のどこかの仮想通貨取引所で、ビットコインやイーサリアムなど他の仮想通貨に一定のレートで交換できることができる状態を指す。

 

トークンとは?株式?債権?

 

 ICOをわかりにくくしているのが、仮想通貨の払込と引き換えに受け取るトークンとは何か、ということである。
「トークン」とは、前回、前々回のコラムでも述べたように、ブロックチェーン技術を説明するにおいて中核といえるべきものの一つで、何らかの「価値」をブロックチェーン上に記録しておいたもの、である。


 「トークン」はどのような「価値」を記録するかによって、その性格は大きく変わる。例えば、以下のような価値を記録することが考えられる。

 

・通貨のようにいろいろなものを購入できるという価値
・何かの利用権を表したもの(これはゴルフ会員権に近い)
・プラットホームを利用するために用いられるもの(プラットホームの中での報酬の支払いはトークンを用いて行うしかできないなど)
・サービスを購入する際の前払いのようなもの(プリペイドカードに近い)

 

 上記のように、トークンはあらゆる価値をあらわすのに有益であるが、どのような価値をあらわすかによって、適用される法律や会計処理が変わってきそうだ。「トークン」は会社法上の株式でもないし、社債でもない。

 

(チケットのようなもの、と考えればわかりやすいが、中身がよくわからないトークンも存在する。)

 

ICOの8割は詐欺?

 

 しかしながら、イーサリアムなどの例のようにICOをした後にそのトークンが値上がりして売買できるようになるかどうかは、トークン次第であるといえる。ICOデータベースを運営するICO dropsによれば、2018年6月末時点において、ICO時の価格とトークン上場後の価格を比較して1倍以下となっているものは、67.1%に上っている。

 

 また、ICO Rating (New York)の調査によると、世界でICOを実施している企業のうち、単なるアイデアベースでICOを行っているものが46.6%、MVP(ユーザーに提供できる必要最小限の製品)を開発済みのものが26.2%と、サービス化に至っていない案件が72.8%にも上っていることが判明している。

 

 さらに、ICOアドバイザリーであるサティスグループが行った調査によれば、約8割が詐欺に認定されるものであったとしている。
2017年においては、法的根拠が明確でなかったために、詐欺的なICOが横行したものとみられる。

 

日本でのICO

 

 日本でのICOで話題となったのは、テックビューロによるトークン「COMSA」のICOだろう。しかし、日本では法整備が早かったせいか、金融庁の牽制があったためか、案件数としてはごく限られている。

 

 次回では、ICOに関わる法律問題と会計上の問題について、ICOを検討・実施した企業の発表資料から整理してみよう。

 

 

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