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安全な取引に欠かせない?取引リスクはエスクローで回避

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インターネットでの取引が多く見られるようになった今、実店舗での契約同時履行がされないがために、さまざまな取引トラブルが起こっているのをご存知でしょうか。今回は、そんな取引リスクを回避するためのエスクローについてご紹介します。

 

不動産詐欺事件から見出せるエスクローの必要性

エスクローは、中立的な第三者が仲介しないことによる不動産取引問題が多かったアメリカで確立されたもので、不動産取引における決済サービスの一種として発展しました。

売り手と買い手の間にエスクローが入り代金の決済資金を一時的に預かることで、買い手と売り手の両方が商品や代金を受け取れないというトラブルの発生を避けられます。

特に、高額商品となる不動産取引において、契約履行時に信頼できる中立的な第三者に仲介してもらい、決済の保全を確保することは必要な手段です。

最近では、日本でも大手ハウスメーカーが地面師による巨額の不動産詐欺事件に巻き込まれた例もあります。これは代金支払いから登記完了までにタイムラグがあることが原因とも言われ、エスクローなしでの取引の危険性を浮き彫りにした事件でもありました。

 

身近な取引のリスクもエスクローで回避?

エスクローを通さずに行う取引の危険性は、何も大手企業のみが考慮すべきことではありません。

身近なところで例を挙げると、近年急速に普及しているインターネットオークションやフリマアプリでの取引があります。実店舗を介さず、取引相手の素性が分からないことに不安を感じたことはないでしょうか。匿名性が高く、先払い制が多い取引の中で、代金を支払ったのに商品が届かないといったトラブルにあわれた方もいるかもしれません。そういったリスクを回避するために、決済代行の仲介サービスというエスクローを取り入れるサイト運営者も増えてきました。

 

今後予想される日本のエスクロー市場

エスクローの概念が浸透していない日本において今後どのようなエスクロー市場が予想されるでしょうか。

まず、上記でも挙げた不動産取引やM&A取引はもちろん、受発注業務の効率化を図るシステム受発注取引では、エスクローを利用することで取引代金管理の透明性を高め、不正利用等の防止につなげることができるでしょう。

また、全国で増加している空き家問題を受けて、国が促進している中古住宅の流通市場規模は、2020年に20兆円にまで膨れ上がると予想されます。このような所有者の不明確な物件を取り扱う際にも、エスクローの必要性もしだいに高まるでしょう。

 

早めの信託探しが吉?法整備されていない日本のエスクロー

アメリカではエスクローが決済保全制度として法整備され、エスクロー会社は政府の厳格な診査をパスして許認可を受けていますが、残念ながら日本でこれに該当する法規制はありません。

日本では、財産の管理や保全に優れた信託会社がベストと言われています。出資法や銀行法に抵触しない決済資金受け入れの合法性や、エスクローアカウントと呼ばれる決済資金を保管する口座の安全性を考えると、信託の機能を活用することが最もエスクローに近い効果を享受できると考えられます。

まだまだ日本での認知度が低いエスクローですが、取引の多様化やネット取引の普及により、その必要性は確実なものとなるでしょう。