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オフバランス化の手法と企業・投資家へ与えるメリット

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 オフバランスを活用すると企業や投資家へどのようなメリットがあるのでしょうか。また、どのような状況でオフバランス化すべきかをご存知ですか。ここでは、オフバランスとは何かという基本から、その具体的な手法や効果まで詳しく解説していきます。

 

 

オフバランスのバランスとは?オフバランスは具体的に何を指すのか

 

 オフバランスを知るうえで重要になってくるのが、バランスシートの存在です。

 

 バランスシートとは「貸借対照表」のことで、資本・資産・負債を記載し、企業の財務状態を明らかにするために作成される書類です。英語ではBalance Sheet(バランスシート)と呼ばれるため頭文字をとってB/Sと表記されることもあります。

 

 オフバランスは、事業運営に活用している資産や負債をバランスシート上の記載からなくす(オフする)ことで自己資本比率を高め、ひいては企業価値を高めることを最大の目的としています。

 

 企業の収益を図る尺度として、当期純利益を総資産で割った数値であるROA(Return on Asset 総資産利益率)が用いられます。事業運営に投下された総資産がどのぐらい効率的に利用されて利益に結びついているのかを分析するための指標です。

 

 オフバランス化すると総資産が減少するために、結果的にROAが向上するというメリットがあります。

 

ひとつではない!オフバランス化する手法

 

 オフバランス化の手法はひとつではありません。

 

資産売却による手法

 

 まずは、事業資産を売却することが最もシンプルで分かりやすいオフバランスの手法です。

 

 しかし、オフバランス化の対象である資産が非常に大きな不動産であるなどの場合、SPC(特別目的会社)に譲渡する目的で、SPCが証券を投資家に向けて発行することで、バランスシートからオフする手法が用いられます。これを「不動産の証券化」といい、オフバランス化の方策としてよく用いられます。

 

金融取引による手法

 

 リース取引や、金利スワップ・先物取引といった金融派生商品を活用してオフバランス化する手法もあります。リース取引による場合は、資産を売却して賃借することで金利負担や維持管理費をなくすことができます。また金融派生商品による場合は、決済日になるまでバランスシートに計上されないためオフバランス化と同様の効果を得られる手法です。

 

投資家にとってもメリットのある「証券化」

 

 オフバランス化の一つである「証券化」は、企業だけでなく投資家にとってもメリットのある手法です。

 例えば、企業が不動産の証券化を行う場合、都心の一等地にある大型商業ビルのような掘り出し物が市場に放出される場合があります、このような案件に自分の資産に応じた口数で投資することができるようになるといったメリットがあります。

 

 とくに証券化の手法の一類型である不動産投資信託のREIT(リート)は投資対象が不動産に特化され、証券化された魅力的な不動産に投資できると最近注目されている投資方法のひとつです。

 

企業と投資家の両者がメリットを期待できるオフバランス

 

 会計上でリスクのある資産をバランスシートからオフすることで、資金負担やリスクを軽減して企業価値を高めるというメリットが見込める手法が、オフバランスです。投資家はこれを機会にオフバランスに着目してJ-REIT市場を見てみると今までとは違った不動産市場が見えてくるかもしれません。

 

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>>オフバランスでわかる資産価値(前編) オフバランス化の真の目的とは

>>オフバランスでわかる資産価値(後編) オフバランス化の真の目的とは