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海外不動産投資 フランス・パリ  vol.2

現地専門家が伝える!世界中から熱視線を浴びるフランス・パリ不動産投資とは?

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パリ不動産投資の特徴

 

公証人制度

 

 不動産取引を行う場合不動産の登記や決済の手続きをどのようにするのかということはどの国でも問題になるところです。アメリカではエスクローの制度がありますが、フランスでは公証人制度が発達しており、公証人を介さないと不動産取引ができないということになっています。

 

 公証人は、契約書の発行、登記手続きから決済手続きまでを引き受けるため、これにより不動産取引の安全が確保されています。

 

 

値崩れのリスクが少ない

 

 また、将来的に不動産の値崩れのリスクが少ないということもいえます。パリ市内では新しく開発できる土地がほとんどなく、人口に対して新しい住宅の供給が追い付いておらず住宅不足が慢性化しています。

 

 パリの住宅戸数は134万戸といわれおり、世界中の投資家が取引を行っているために、住宅価格はここ10年間で大きく上昇しております。フランスの出生率は2.0を超えているために、フランス全体で人口が毎年20万人増加しているという計算になりますので、先進国では珍しい現象であるといえるでしょう。

  

パリ不動産市況

 

 さて、パリの不動産市況に話を移しましょう。

 

不動産投資市場の広がり

 

 2001年に共通通貨ユーロができたことで、ヨーロッパ諸国からのパリ市内の不動産の買い付けが多くなってきました。2001年から2008年ごろにかけて不動産価格が大きく上昇していますが、このころイギリス、ドイツ、イタリアなどからの不動産の投資が一時的にブームになったこともあり、この期間で不動産価格は約2倍になりました。

 

 そのあとは不動産市場に若干の陰りが見え、約10%の下落が見られます。これは主にリーマンショックの影響でしたが、その後の回復のスピードは非常に早かったです。

 

キャピタルゲイン課税の法改正

 

 その後不動産価格は上がり続け、やや市場がバブル的要素を含むなかで、2011年にピークを迎えました。

 

 この時に何が起こったかというと、キャピタルゲイン税の改正があったんですね。この時までは、15年間保有することでキャピタルゲイン課税を0にするというような逓減率だったのですが、この時の改正で、30年間保有しないとキャピタルゲイン課税が0にならない、という制度に変更されました。

 

 フランスではこのような改正があるとこれが遡及的に適用されるということがあります。このような背景があり、不動産市場は売り先行に傾き、その影響で3,4年、不動産価格の下落が続きました。

 

直近も順調な価格上昇

 

 2015年、テロ事件が起きたのは記憶に新しいところです。新聞社が狙われたり、銃の乱射事件が起きたりして、この時、フランスへの渡航者は日本人だけでみても約40%下落したといわれております。しかし、この時には不動産価格にはそれほど影響を与えることはありませんでした。

 

 テロは一時的なものですし、街を破壊するものではないし、建物の価値に影響を与えるものではない。2,3年たてば落ち着くだろうというのが大半の見方で、ここで不動産を手放すという動きにはならなかったということがあります。

 

 その後2016年にはすぐに回復し、過去最高を更新している状態です。価格の推移でみると2000年からみて、2.8倍まで上がっています。いつまで上がり続けるんだろうという論議が最近よく行われておりますが、2024年の夏季オリンピックがパリに決まったことで、2016年の第4四半期から2017年の第4四半期まででパリ市内で5.3%ぐらいの上昇がみられました。その後も市況は順調で、最近では月平均0.6%ぐらいの上昇となっております。

 

 

公証人組合の価格データ

 

 パリではフランスの公証人組合が1㎡あたりの不動産価格のデータを公表しております。

 

(図1・パリ市内不動産価格指数)

 

 たとえば最も高いところでは、6区、サン・ジェルマン・デ・プレと呼ばれているところですが、この辺の現在の相場は1㎡あたり14, 800~24, 000 ユーロになっています。

 

 7区14 000ユーロ前後、16区12 000ユーロ前後。16区は北側と南側で大きく価格が異なるといわれており、また公表データは平均価格を示しておりますので、実際の取引価格とは乖離がある場合があります。

 

 東側に行くとだいぶ安くなるのですが、18、19,20区は移民層が多いところです。中国人、アラブ人、東欧人が住んでいる地域です。一方で、14、15、16、17区は比較的富裕層の方が住んでいる地域といえます。

 

 

 

 

 2018年3月の最新データで最近の推移を見てみると、まず1区、パレ・ロワイヤル地区ですが、ここはルーブル美術館がある商業地区の中心部であり、住宅は非常に少ない地区でありますが、ここでも同じように上昇がみられます。現在は100㎡のマンションが150万ユーロぐらいで取引されている地域になります。過去1年でも3.6%の価格上昇となっております。

 

 7区、エコールミリテール地区ですが、ここはエッフェル塔がある界隈です。このあたりは高級住宅街と知られておりまして、昔から富裕層が住んでいるエリアですが価格は同じように上昇しています。

 

 16区、ミュエット地区ですが、ここは外交官の多い地域になります。各国の大使館ですとか、この辺りは日本人が割と多く住んでいる地区でもありまして、日本人学校なども多くあります。ここでも同じような上昇カーブを描いています。

 

(第3回へ続く)

 

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